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2022年1月10日

日韓中三カ国の環境研究の協力:
「第18回日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM18)」の開催報告

行事報告

企画部国際室

 国立環境研究所(NIES)は、韓国の国立環境科学院(NIER)および中国環境科学研究院(CRAES)と協力して「日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM)」を毎年開催しており、北東アジア地域をはじめとした様々な環境問題の解決に向けた研究協力の推進と、新たな協力の姿の議論を行っています。2004年に中国CRAESの呼びかけにより始まった本会合は本年で18回目を迎えましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により昨年に引き続きオンライン会合の形で11月4日(木)に開催されました。

 今回の会議は、NIER(韓国)と当研究所がともに新機関長を迎えての会合となりました。まず本年度TPMの主催を務めるNIERのKim Dong Jin院長が開会のスピーチを行い、CRAES(中国)の李海生院長、当研究所の木本昌秀理事長が続きました。スピーチの中では、Kim院長はNIERが取り組む大気汚染、環境保健研究、および廃棄物処理について述べ、李院長は中国で開催された生物多様性条約COP15、第14期5カ年計画、廃棄物問題、自然保護、大気汚染対策などの成果について言及し、今後の協力についての提案を行いました。木本理事長は新たな5カ年計画の開始とその目標のひとつである「国内外機関との連携および政策貢献を含む社会実装の推進」を紹介し、TPMはもっとも重要な活動の一つであると強調しました。

議論する木本理事長の写真
写真1 議論する木本理事長

 続いて行われた各機関の研究活動の概況報告では、当研究所から森口理事が新たな研究体制や国内外との連携、最新の研究成果などを紹介しました。次に、三機関の連携の可能性を探ることを目的として昨年から継続して行われている三機関の体制や制度の比較調査に関する発表が行われ、当研究所からは国際室より各機関の人員体制や人事評価、職員の採用や派遣にかかる制度の比較についての発表を行いました。

 また、本年度の会合では気候変動適応をテーマとしたワークショップが行われ、当研究所からは気候変動適応センターとその活動について真砂佳史室長と岡和孝主任研究員が発表を行いました。各機関からの研究発表に対して、機関長らが興味深く聞き入る様子が画面を通して伝わりました。

署名を終えた三機関長の写真
写真2 署名を終えた三機関長 (上段左:Kim院長、上段右:木本理事長、下段:李院長)

 機関長ディスカッションの中では、三機関の具体的な共同研究の可能性を有する分野として設定している潜在協力研究分野(Potential Research Area: PRA)の4分野(大気、水、気候変動、環境保健)の担当者が近況を発表する時間が設けられました。NIESからは大気分野より清水厚主幹研究員、水分野より高津文人室長、小野寺崇主任研究員、気候変動分野より増井利彦室長、環境保健分野より中山祥嗣次長が出席し、それぞれ短い報告を行いました。昨年度より、新型コロナウイルスの感染拡大によって国際交流が難しい面がありましたが、今後の協力推進の見通しを共有することができました。

 三機関長は、気候変動はますます重要な課題になることを確認し、今後の情報共有、相互交流を約束しました。韓国は適応センター開設の準備に入り、中国はカーボンニュートラルセンター開設を考えていると報告がありました。当研究所の気候変動適応センターは、先駆者として、より一層の協力を期待されています。来年のTPMはCRAESが主催となり中国で開催される予定で、三機関長は互いに、次回は対面で議論できることに期待を述べ合いながら、会議が締めくくられました。

 なお、本会合については、国立環境研究所ホームページのお知らせにも掲載予定です。

NIES参加者集合写真
写真3 NIES参加者集合写真

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