- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 0709CD358
- 開始/終了年度
- 2007~2009年
- キーワード(日本語)
- 個体群存続性,近交弱勢,絶滅危惧植物,湿地
- キーワード(英語)
- Population viability, Inbreeding depression, Endangered plants, Wetland
研究概要
開発などによる生息環境の悪化に直面する絶滅危惧植物は強いストレスを経験している。そのようなストレス環境下で、近交弱勢が個体群動態へ及ぼす影響を評価し、保全のための指針の構築に寄与する。研究対象として、環境の悪化が著しい湿地に生育する絶滅危惧植物、イヌセンブリを取り上げる。 具体的には野外のストレス条件下での近交弱勢の測定、遺伝マーカーを用いた自然個体群での近親交配の実態把握、個体群動態モデルを用いた、近交弱勢による絶滅リスクの評価を行う。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
2007年度は、ストレス要因として乾燥・被陰条件を制御した野外実験個体群を作成し、近交弱勢を実測する。また、血縁者の分布や交配パターンを推定するため、マイクロサテライトマーカーを開発する。
2008年度は、実験個体群での調査の継続と、開発したマイクロサテライトマーカーを用い、2007年度に採取した自生個体群のサンプルの遺伝子型を決定、自生地での血縁者の分布と交配パターンを推定する。
2009年度は、実験個体群で推定した生活史パラーメタおよび近交弱勢の強さを用いて、個体群動態のシミュレーションモデルを作成、個体群の存続性に対するストレスと近交弱勢の相互作用を評価する。
今年度の研究概要
ストレス環境下での近交弱勢測定のための実験個体群の作成し、生存率、成長、開花率、種子生産量の調査を行う。人工授粉で作成した他家受粉・自家受粉種子を、被陰・乾燥の程度が異なる立地条件に播種して作成する。被陰の程度は高茎草本の刈り取りにより操作し、乾燥条件は比高の高低で変化させる。
実験サイトは近くに自生地があるがイヌセンブリが現在分布していないことを確認している湿地に設け、それぞれの個体群は、花粉の交流が起きにくい十分な距離と考えられる、10mの間隔で設置する。
また、マグネットビーズ法などを用いて、イヌセンブリのマイクロサテライトマーカーの開発を行う。多様性の高いマーカー5座程度(遺伝構造の調査で用いる標準的な座数)の開発を目標とする。
備考
旧課題コード 0609AE448
- 関連する研究課題
- 0 : その他の研究活動(生物圏環境研究領域)
課題代表者
石濱 史子
- 生物多様性領域
生物多様性評価・予測研究室 - 主幹研究員
- 博士(学術)
- 生物学