- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 0810CD010
- 開始/終了年度
- 2008~2010年
- キーワード(日本語)
- 気候変動,北極海,中深層循環,温暖化,チャクチ海,最終退氷期
- キーワード(英語)
- climate change, Arctic Ocean, mid-deep water circulation, global warming, Chukchi Sea, last deglaciation
研究概要
グリーンランドアイスコアの11500年前に記録されている突然かつ急激な温暖化では、平均気温が約10年で約8.3℃上昇したことがわかっている。しかしながら、このような突然の気候ジャンプのメカニズムについては十分に明らかにされていない。本研究では、最新の古海洋復元プロキシーを駆使し、古海洋データの空白域である北極海において、現在よりも2℃温暖であったと推定されている最終間氷期の古海洋記録を定量的に復元することを目的とする。特に,水温,塩分の定量値,季節海氷の有無,生物生産を高時間精度で復元し、海洋表層から深層にかけての海洋構造・水質変化を明らかにし,北極圏の温暖化による環境変動予測のための知見の取得をめざす。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
本研究では、最終間氷期の古海洋記録を定量的に解明するため,水温,塩分の定量値,季節海氷の有無,深層水循環,生物生産を高時間精度で復元し,海洋表層から深層にかけての海洋構造・水質変化を明らかにし,北極圏大気の気温変動との比較検討を行う。1年目は、コアの採取を実施し、予察的な年代モデルの構築を行い、分析を優先するコアを決定する。2年目は、優先順位高位のコアについて、有機炭素含有量,C/N比、炭素、酸素安定同位体比(有孔虫、堆積物中バルク有機物)、放射性炭素(有孔虫),微化石群集解析(珪藻,有孔虫,放散虫),バイオマーカーなど,総合的な古環境分析を実施する。中深層での循環変動お歴史変化を復元するため、浮遊性有孔虫・底生有孔虫の放射性炭素年代測定を実施する。。それにより,表層と深層での温暖化や深層水循環変動のタイミングを検討する。
今年度の研究概要
昨年度北極海ノースウインド海嶺で採取したコアの分析を進める。特に年代モデルの構築を優先させる。
また、有機炭素含有量,C/N比、炭素、酸素安定同位体比(有孔虫、堆積物中バルク有機物)、放射性炭素(有孔虫),微化石群集解析(珪藻,有孔虫,放散虫),バイオマーカーなど,総合的な古環境分析を実施する。深層水の水温変動を復元するため,底生有孔虫のMg/Ca水温計を用いる。酸素同位体比とMg/Ca水温計の組み合わせにより,水温と塩分を復元する。それにより,表層と深層での温暖化や深層水循環変動のタイミングを検討する。年代決定は,有孔虫酸素同位体,放射性炭素年代,微化石・古地磁気層序の高精度統合分析により実施する。研究分担者については,昨年度の研究航海で採取した海底コア試料の年代分析,バイオマーカー分析を継続して実施する。
備考
研究代表者:神戸大学人間発達環境学研究科 准教授 大串健一
- 関連する研究課題
- 0 : その他の研究活動
課題代表者
内田 昌男
- 地球システム領域
- 主幹研究員
- 博士(農学)
- 化学,地学,理学