- 予算区分
- AF 奨励
- 研究課題コード
- 0910AF007
- 開始/終了年度
- 2009~2010年
- キーワード(日本語)
- 外来生物
- キーワード(英語)
- invasive species
研究概要
世界的両生類減少の主因とされるカエルツボカビは、我々の調査により日本に多数の系統が存在し、アジア(日本)起源である可能性が高まった。ただ野外のカエルツボカビの生態に関する知見は、極めて乏しく、この菌のリスク評価を難しくしている。そこで上記2種の両生類に寄生する菌の季節消長、宿主両生類との生態的関係を明らかにし、菌の野外生態を解明することを目標とする。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
これまでほとんど知見のないカエルツボカビの野外での個体群動態、とくに季節消長と環境要因の関連性を明らかにするために以下の調査を行う。
1) 沖縄県にてシリケンイモリを定期的(年6回程度)採集し、カエルツボカビのスワブサンプル収集を行う。標高、気温、水温、湿度、水質、土地利用状況などの環境データの収集をするとともに、イモリの生活空間(水生、陸生)、発生段階(幼生、亜成体、成体)についても記録する。また、シリケンイモリの体長や健康状態もチェックし、組織学的検査のために一部の個体を液浸標本として保存する。
2) 神奈川県でウシガエル(年6回程度)のカエルツボカビ感染個体群の定期調査を行う。この際も環境データ、宿主の発生段階についても記録する。特定外来生物ウシガエルは可能な限り標本として保存する。
3) 得られたサンプルをPCR法と定量PCR法により検査して、菌の感染率と菌体密度の時空間的変動を解明する。菌の遺伝系統の同定を行い、遺伝系統間に季節消長の違いがないか検討する。
4) 標本の組織切片を作り、顕微鏡観察して、カエルツボカビの感染実態と宿主両生類に与える影響について組織学的に調査する。
5) カエルツボカビの時空間的変動が、どのようなに環境要因および宿主両生類の生活型と相関しているのか解析する。
今年度の研究概要
10、11、1、3月の4回、沖縄島と神奈川県でシリケンイモリとウシガエルが保菌するカエルツボカビの動態(時空間的変動)を調査するため、スワブサンプルの収集を行い、宿主両棲類の生活史についても記録を行い、分子遺伝学的手法、組織学的手法により得られたサンプルの解析を行う。