- 予算区分
- CD 文科-科研費 121176
- 研究課題コード
- 1922CD002
- 開始/終了年度
- 2019~2022年
- キーワード(日本語)
- 生態系サービス,熱帯林,ネットワーク解析,生物多様性
- キーワード(英語)
- ecosystem service, tropical forest, network analysis, biodiversity
研究概要
生態系サービスの持続的利用のためには、基盤となる生態系機能の供給と社会の需要のバランスの調和、生態系・社会システムにおける供給と需要の安定性の理解が不可欠である。本研究では、生態学のネットワーク解析を生態・社会システムに応用することにより、局所から地域スケールにおける生態系サービスの持続性の評価を行うことを目的とする。具体的には、申請者の研究蓄積のあるマレーシア・サラワク州を対象として、GIS解析による過去50年間の土地利用の変化とそのドライバーの解析、地域の生物多様性、生態系サービスについてマッピングを行う。さらに地域の生態系サービスに関連する生態・社会システムをネットワーク構造化し、生態系サービスの供給・利用のバランスと、持続性の鍵となる生物種や利用者を明らかにする。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
本研究では、以下の4点について明らかにする。
1)GIS解析による過去50年間の土地利用の変化とそのドライバー
2)地域の生物多様性・生態系サービスのマッピングと土地利用変化ドライバーの影響の解明
3)各土地利用における生態・社会システムのネットワーク解析による持続性評価
4)地域スケールにおける持続性の評価と鍵となる土地利用、ステークホルダーの特定
1~2年目は野外調査を中心に行い、3年目は生態系サービスマップと局所スケールでのネットワーク解析の完成、4年目には研究参画者全員で結果のまとめ、地域の持続性評価を完成させる。
今年度の研究概要
マレーシア・ビンツル省クムナ川・タタウ川流域を中心としたフィールド調査を進める一方、種分布推定、GIS解析に必要なデータの収集を行う。また生態系サービスについては、特に供給サービス・文化的サービスに焦点を当て、農村部・商業伐採区において聞き取り調査、統計情報の収集を行うことによって、利用量を明らかにする。
1)GIS解析による過去50年間の土地利用の変化とそのドライバー
対象地域の時系列の土地利用マップを作成するため、1970年代からのボルネオ森林減少マップをもとに、解像度を確認しながら基盤を整備する。なお、保存林の情報はないため、現地調査を行って詳細情報を取得する。
2)地域の生物多様性・生態系サービスのマッピングと土地利用変化ドライバーの影響の解明
2-1. 種分布推定による生物多様性のマッピング
対象種とするフタバガキ科などの標本データ、分布データ情報の収集・整備を行う。
2-2. 生態系サービスの評価
• 供給サービス・文化的サービス:各村での聞き取りによって保存林や周りの環境で対象種の利用頻度、方法を調査する。
• 供給サービス:土地利用マッピング各林業統計量の調査によって過去から現在までの利用量を明らかにする。
外部との連携
大阪市立大学・文学部・教授 祖田亮次
公益財団法人地球環境戦略研究機関 自然資源・生態系サービス領域 リサーチマネージャー鮫島弘光
東京大学 サステイナビリティ学連携研究機構 准教授 Gasparatos Alex
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