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自然共生研究プログラム(令和 4年度)
Harmonization with Nature Research Program

研究課題コード
2125SP030
開始/終了年度
2021~2025年
キーワード(日本語)
自然,生態系,生物多様性
キーワード(英語)
Nature,Ecosystem,Biodiversity

研究概要

生物多様性の保全に関して、生物・生態系の環境変化への応答機構を評価し、劣化要因の制御と保全計画を提示する。利用に関しては、生態系機能とサービスの多面性を評価し、生態系を積極的に活用した問題解決策を提示する。これらに基づいて生物多様性の主流化及び社会変革をうながし、自然資本の向上に貢献する。
本研究プログラムでは、以下の5つの課題に取り組む。
PJ1 人口減少社会における持続可能な生態系管理戦略に関する研究。
PJ2 生物多様性及び人間社会を脅かす生態学的リスク要因の管理に関する研究。
PJ3 環境変動に対する生物・生態系の応答・順化・適応とレジリエンスに関する研究。
PJ4 生態系の機能を活用した問題解決に関する研究。
PJ5 生物多様性の保全と利用の両立及び行動変容に向けた統合的研究。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

2021年にとりまとめられた「生物多様性及び生態系サービスの総合評価 2021(JBO3)」において、日本の生物多様性及び生態系サービスは長期的に損失・劣化傾向にあり、その直接的な要因の影響は大きいまま推移しており、生物多様性の損失を止め、回復へと転じさせるためには、直接要因を対象とした対策に加え、社会経済要因も考慮した社会変革が重要であるとされた。本プログラムでは、こうした状況を受け、生物多様性の保全(PJ1〜3)に関して、生物・生態系の環境変化への応答機構を評価し、劣化要因のへの対処と保全計画を提示する(PJ1:人口減少下の生態系管理、PJ2:外来種、汚染、感染症の低減、PJ3:環境変動応答)。利用(PJ4)に関しては、生態系機能とサービスの多面性を評価し、生態系を積極的に活用した問題解決策を提示する。これらに基づいて統合的な取組を推進して生物多様性の主流化及び社会変革をうながし(PJ5)、自然資本の向上に貢献する。

今年度の研究概要

PJ1については、初年度に引き続き人口減少下での持続可能な生態系管理に向けた情報基盤の整備と、分析手法の開発を進める。鳥獣管理や生物多様性保全のための生息地管理に関して、広域評価や対策の効果の評価に関するデータベース化を進める。データベースが構築できた対象からデータの分析に着手し、広域評価・将来予測のための分析を行う。PJ2については、生物多様性及び人間社会に対して有害な影響を与える環境リスク要因として侵略的外来生物の早期発見・早期防除システムの実装を推進し、外来昆虫類の地域根絶を目指す。農薬の生態リスク評価については陸域生態影響評価システムの構築及び政策への反映を推進する。野生生物感染症について鳥インフルエンザ・豚熱・重傷熱性血小板減少症候群(SFTS)などのサーベイランス強化を進めながら、病原体微生物の網羅的検出技術を確立する。さらに国際獣疫事務局(OIE)のサブフォーカルポイントとして野生動物感染症研究拠点形成を推進し、環境省に対して科学的支援を強化する。PJ3については、重点的に対象とする生物・生態系と現象を整理し、環境変動に対する生物・生態系の応答・順化・適応とレジリエンスを評価するための実験及び野外調査を継続する。また、生物・生態系の変化を表現する理論動態モデルの構築を進める。PJ4については、都市、流域、沿岸の各地域において、都市生態系の管理・活用、農業生産と環境保全の両立、里海里湖の生態系サービスの維持に着目し、各問題に沿った対比軸や環境勾配が想定される調査地のさらなる選定を行う。各対象地域において問題解決のために活用が期待される生態系機能・サービスについての情報を引き続き収集し、それらの評価手法の検討を行いつつ、生態系機能・サービスの評価を開始する。PJ5については、将来予測の不確実性に頑健な生物多様性保全と生態系機能・サービスの統合評価手法の改良、ヤンバルクイナの生息地に適した環境DNA による捕食者検出技術の開発および繁殖に関わるパラメーター情報の収集、農業等による土地利用が地球規模で生物多様性に及ぼす影響を評価するためのデータ解析、生物多様性保全を促進するための募金行動や消費者行動の解明に向けた政策・施策介入を考慮したデータ解析を進める。

課題代表者

山野 博哉

  • 生物多様性領域
  • 上級主席研究員
  • 博士(理学)
  • 地理学,地学,理学
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