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廃棄物最終処分場最深部に敷設された合成樹脂系遮水シートの経年劣化と長期遮蔽性の解明に向けた基礎的研究(令和 4年度)
Study on the long-term barrier performance and time-related deterioration of geomembranes underlying waste layer in landfills

研究課題コード
2222NA002
開始/終了年度
2022~2022年
キーワード(日本語)
遮水シート,経年劣化,遮水性能,最終処分場
キーワード(英語)
Geomembrane,Time-related deterioration,Barrier performance,Final disposal site

研究概要

最終処分場に用いられる遮水シートの、化学物質の遮蔽性と経年劣化の影響について研究する。経年劣化の影響は従来から研究されてきたがそのほとんどは力学的性質を対象とする。化学物質の遮蔽性を議論した研究は希少である。シートは処分場最深部にあり、化学物質との接触や高温条件、乾湿繰り返し、微生物侵食を数十年以上にわたり受ける。その結果、シート表面の劣化から化学物質との親和性は変化し、添加剤の分解や溶脱によってミクロポアが発生しこれらは化学物質の遮蔽には弱面となる。経年劣化による遮水シートの性状変化と化学物質の遮蔽性を関係付けるための研究が必要である。特に近年、最終処分場の大型化や長寿命化に耐えうる遮水工の性能設計や評価が求められてので、本研究ではその解決に資する知見を得る。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

合成樹脂系遮水シートが最終処分場最深部の環境下で生じ得る劣化要因を既往研究成果から推察し、劣化メカニズムに対する仮説を立てる。その後遮水シートメーカーに、遮水シートの開発動向や技術課題、劣化に対する考えをヒアリングし、本研究成果が社会還元に繋がるよう研究体制及び研究計画のブラッシュアップを行う。研究内容では、PVC、LDPE、HDPEの各合成樹脂系遮水シートと、それらに対して促進劣化を施したシートに対して拡散透過試験を行い、遮水シートを通過する化学物質の透過性を拡散係数と分配係数という指標をもって表現しその値を得る。以上の実験により、こうした透過性を示すパラメータが遮水シートの経年劣化によって受ける影響力を考察し、遮水シートを有する最終処分場の安全性評価に必要な知見を得る。

今年度の研究概要

(1) 遮水シートの劣化に係る既往研究調査と最終処分場最深部での劣化メカニズムに対する仮説を構築
(2) PVC、LDPE、HDPEの各遮水シート、及び促進劣化処理した遮水シートを用いた拡散透過試験の実施
(3) 遮水シートに対する化学物質の透過性を支配する因子とその影響力を整理
以上3点を実施し、その結果を研究報告書としてとりまとめる。

外部との連携

能村膜構造技術振興財団

関連する研究課題

課題代表者

石森 洋行

  • 資源循環領域
    廃棄物処理処分技術研究室
  • 主任研究員
  • 工学博士
  • 土木工学
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