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海底プラスチックごみの摂食・付着による劣化等、海底における微細化の実態把握手法の構築(令和 5年度)
Establishment of evaluation methods to understand the actual condition of degradation and fragmentation of plastic garbage on the seafloor by physical and biological processes

予算区分
SII-10-3
研究課題コード
2325BA005
開始/終了年度
2023~2025年
キーワード(日本語)
海底プラスチックごみ,劣化,微細化
キーワード(英語)
plastic garbae on the seafloor,degaradation,fragmentation

研究概要

陸域で排出され海域に流出したプラスチックごみ(プラごみ)は、浅海のみならず深海の海底でも発見され、底質中からもマイクロプラスチックが検出されることから、プラごみが陸域から深海底に輸送され、海底に滞留する過程において、海底に生息する生物やプラごみに付着する生物による劣化や微細化が進行することも考えられるが、その実態はほとんど明らかになっていない。そこで本研究では、海底における生物活動や物理的作用によるプラごみの劣化・微細化の実態を明らかにし、その過程や程度の評価手法を開発することを目的とする。
 サブテーマ(1)では、各種の付着・底生動物の摂食行動によるプラごみの劣化・微細化の実態・速度・機構を解明するための手法開発を目指し、動物の体内・糞中におけるマイクロプラスチック検出手法の開発、動物の摂食による海底プラごみの劣化・微細化評価手法の開発を進めると同時に、複数の調査海域の異なる水深帯において特定した海底プラごみを劣化・微細化する可能性のある付着・底生動物を用いた実験を行う。
サブテーマ(2)では、各種プラごみの表面に動植物が付着・剥離する過程におけるプラスチックの劣化・微細化の実態とその機構を明らかにすることを目指し、付着生物によるプラスチック類の劣化や微細化状況を各種機器分析により調査する。また、代表的な付着生物種(フジツボ類、イガイ類およびアナアオサなど)を用いた付着・剥離実験とそれに続く各種機器分析による詳細な調査解析により、付着生物によるプラスチックの劣化や微細化の程度を客観的に評価する手法の開発を行う。
サブテーマ(3)では、海底における劣化プラごみの微細化の実態とその環境影響を評価することを目的として、浅海・深海で採取した海底プラごみの採取場所(水深差)・種類・材質・添加剤・劣化等実態やこれらの関連性を把握し、ペレット状のプラ製品を加工した試験片の劣化試験を通じて得られる劣化プラを作製して、海底での物理的作用のうち、プラごみと海底砂との摩擦による微細化に着目した微細化試験手法を開発・確立する。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

国環研が実施するサブテーマ(3)海底プラスチックごみの種類・劣化実態を反映した微細化評価手法の開発は、はじめに、課題1として浅海(藻場を含む大陸棚)・深海で採取した海底プラごみの材質や劣化等実態を把握する。次に、課題2として、海底プラごみの実態を反映した、紫外線等による劣化試験手法と、劣化したプラごみと海底砂泥との摩擦による微細化に着目した微細化試験手法を開発する。そして、課題3として、プラ試験片を対象とした劣化・微細化試験を実施する。これにより、海底プラごみの物理的作用による微細化の実態を明らかにすると共に、その環境影響の評価に資する。

今年度の研究概要

今年度は、課題1と課題2を実施する。課題1では、大陸棚・深海で採取した海底プラごみの材質や劣化等実態を把握する。必要に応じて海底プラごみの追加採取を計画する。課題2では、劣化・微細化試験手法やバイオフィルムの形成条件の確立に着手する。

外部との連携

東京大学大気海洋研究所、三重大学、電力中央研究所、公立千歳科学技術大学、産業技術総合研究所地質調査総合センター

関連する研究課題

課題代表者

鈴木 剛

  • 資源循環領域
    資源循環基盤技術研究室
  • 室長(研究)
  • 農学博士
  • 生化学,化学
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担当者