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新粒子生成の初期成長に関与する極低揮発性有機化合物の特定に関する研究(令和 5年度)
Identification of extremely-low volatility organic compounds related to new particle formation

予算区分
23K11410
研究課題コード
2325CD011
開始/終了年度
2023~2025年
キーワード(日本語)
エアロゾル−放射ー雲相互作用,新粒子生成,極低揮発性有機化合物,1 nm-走査型移動度粒径測定装置,衝突励起解離
キーワード(英語)
Aeosol-radiation-cloud interactions,New particle formation,Extremely-low volatility organic compound,1nm-Sacanning Mobility Particle Sizer,Collision induced dissociation

研究概要

大気中での有機化合物の光酸化過程で生成する極低揮発性有機化合物(ELVOCs)は、新粒子生成における初期の成長に関与し、雲凝結核の数に影響することが知られている。現在提案されている自動酸化によるELVOCsの生成機構は証明が不十分であると考え、本研究では、新粒子生成過程における初期成長過程の粒子中の成分分析を行ってELVOCsの特定を試みる。1 nm-走査型移動度粒径測定装置を用いた核モード(粒径10 nm以下)の粒子のみの捕集を行い、衝突励起解離機能を有する高質量分解能質量分析計を用いて、核モードに存在するELVOCsの分子量、官能基情報を取得して、ELVOCsの特定を目指し、ELVOCs生成機構を正確に推察する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

室内反応実験で得られる核モードの粒子と実大気において新粒子生成が起こったときの核モードの粒子を捕集し、それらの試料の質量分析を行い、室内実験と実大気試料での共通のELVOCを見つけ、その構造(分子量と官能基の種類と個数)を特定することを行う。室内反応実験は、自然起源VOCの代表のモノテルペンとオゾン反応で生成する新粒子について調べる。また、人為起源VOCの代表として、トルエンとナフタレンの光酸化反応での新粒子についても調べる。生成してくる新粒子の10 nm以下の粒径のものを捕集する。 捕集したフィルターを抽出・濃縮後、衝突励起解離(CID)機能を有する高質量分解能質量分析計による質量分析を行う。CIDスペクトルの解析により、それらの有機化合物(多くのものはELVOCsと予想)の官能基情報が得られ、分子量情報と合わせ、生成物の分子の構造とその反応生成機構を推察する。その後、実大気試料を分析する際には、高質量分解能質量スペクトルの中から室内反応実験試料で得られたイオンピークのもののCIDを行い、CIDスペクトルを比較して、一致するスペクトルに関しては、分子が特定されたことになる。これらの解析を通して、これまで報告されているELVOCsの生成機構が正しいのかどうかを解明する。

今年度の研究概要

モノテルペンの系での室内実験を行い、核モードの粒子を捕集し、それらの試料の質量分析を行い、ELVOCのの構造(分子量と官能基の種類と個数)を特定する。

外部との連携

研究分担者:関本奏子准教授(横浜市立大学生命ナノシステム科学研究科)

課題代表者

猪俣 敏

  • 地球システム領域
    地球大気化学研究室
  • 主席研究員
  • 博士(理学)
  • 理学 ,化学
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