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2021年11月5日

受賞のお知らせ~宮内 達也特別研究員が生態工学会から論文賞を受賞

概要

受賞者氏名: 宮内 達也(地球システム領域)
賞の名称:  論文賞
授賞機関:  生態工学会
受賞年月日: 2021年06月25日
受賞対象:  Weather generatorで生成した気象値が生態系プロセスモデルによるバイオマス
       および水収支推定に与える影響,Eco-Engineering ,32 (2), 23-31,2020

受賞者の写真

ひとこと

炭素・窒素・水循環をシミュレーション可能である生態系モデルを用いて生態系サービスや機能を将来予測・評価するためには、モデルの駆動力となる将来気象データが必要となります。気象データはシミュレーションの対象に適した時空間分解能が要求されます。本研究では、統計的ダウンスケーリング手法の一つであるweather generatorを用いて、既存の気象データをモデルに適した時空間分解能にダウンスケーリングした際に、バイオマス炭素や水流出に関係する生態系機能にどのような影響が表れるのかを調べました。分析結果として、weather generatorで生成した気象値は観測気象データの統計量をよく再現しているにも関わらず、バイオマス炭素量・水流出のモデル予測に誤差が生じ、特に水流出は顕著で、乾燥地域の例でより大きな相対誤差が生じることが分かりました。この原因として、weather generatorで用いる統計量のパラメータでは再現しきれない気象の傾向(連続降水日数に伴う降水強度の変化など)がモデル推定に影響を与えていたことが分かりました。これらの知見はモデルを用いた生態系サービス・機能の将来予測に役立てることができます。今回の受賞を励みに、より一層生態系モデルを用いた研究を進めていきたいと思います。